交通事故の基礎知識

交通事故に関する法律から自動車の知識まで、交通事故にあってしまったら知っておきたいことを弁護士が分かりやすく説明します!

分野別の目次は、こちらの【コラム目次】をご覧ください

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交通事故の被害者が亡くなった場合の死亡慰謝料の相場

交通事故によって被害者の方が亡くなってしまったときのご遺族の悲しみははかりしれないものがありますが、加害者に対して損害賠償をするには、どうしても亡くなった被害者の苦しみ、残された被害者家族の苦しみを金銭に換算せざるを得ません。

そうしたものを金銭に換算したものが死亡慰謝料であり、多くの裁判例からおおよその相場というものができています。

 

1 死亡慰謝料の相場

 

交通事故被害者の方が亡くなった場合の死亡慰謝料については多くの裁判例がありますが、それらの裁判例について日弁連交通事故相談センター東京支部が分析し、おおよその金額が「損害賠償算定基準」という本に掲載されています。

東京地方裁判所では、実際の裁判においても、おおよそその本の基準を目安に金額が決められていますので以下に示します。

 

・一家の支柱  2800万円

・母親、配偶者 2500万円

・その他    20002500万円

 

上記金額を見ると、交通事故でなくなった方の立場によって死亡慰謝料の金額に違いがあります。

家族内の地位によって慰謝料、すなわち精神的苦痛をお金に換算した金額に違いがでるのがおかしいと思われるかもしれません。

しかし、上記のような違いがあるのは、交通事故で亡くなった被害者自身が、死亡という究極の不利益を受けた慰謝料と、残された家族の慰謝料の2つがあること、慰謝料という項目にはなっているものの残された家族の生活保護的視点を考慮したことから、家族内での立場によって違いが出てしまいます。 

 

2 加害者が悪質な場合には慰謝料が増額されることがあります

 

上記のように死亡慰謝料には一応の目安はありますが、加害者が飲酒運転をしていたり、ひき逃げ、無免許運転、信号無視など、加害者にとくに悪質な行為があるような場合には、やや高額な慰謝料が認定されることもあります。

たとえば、加害者の酒気帯び運転により独身の大学院生が亡くなった事例について、大阪地方裁判所平成16927日判決は、被害者本人と家族の慰謝料として合計2800万円を認めています。

 

また、事故そのものは悪質とまではいえなくても、証拠隠滅をしたり、常軌を逸した非常識な対応をした場合にも慰謝料が増額されることがあります。

たとえば、兼業主婦の方が亡くなった事故で、加害者が、刑事事件の裁判で被害者に謝罪したいと言っていたにもかかわらず謝罪がなく、民事事件の裁判の際にも裁判所からの示唆にもかかわらず謝罪しなかった場合に、裁判所は被害者本人と家族の慰謝料として合計2900万円を認めています。

 

 

弁護士 本田幸則