交通事故の基礎知識

交通事故に関する法律から自動車の知識まで、交通事故にあってしまったら知っておきたいことを弁護士が分かりやすく説明します!

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道路外に出るために右折しようとして対向車と衝突した場合の過失割合

対向車線の向こう側にある駐車場や、ガソリンスタンドに入るために、道路を右折しようとしたときに、あやまって対向車線を走っている車と衝突してしまうという事故があります。

この場合、右折車と対向直進車両との過失割合は、原則として90:10とされます。

 

1 基本的な考え方

道路外から道路に車で侵入しようとするときに法律上課される義務については、道路交通法25条2項に規定されています。

 

第二十五条  2  車両は、道路外に出るため右折するときは、あらかじめその前からできる限り道路の中央(当該道路が一方通行となつているときは、当該道路の右側端)に寄り、かつ、徐行しなければならない。

   

基本的には交差点を右折する場合と同じですね。

 

さらに、この義務に違反した場合には、2万円以下の罰金という罰則も規定されています(道路交通法121条1項5号)。

 

基本的には、直進車者のほうが優先となりますから、直進車の過失割合が低くなりますが、他方で、右折車が上記のような義務を尽くしている限りは、直進車は「あの車、右折しそうだな」とわかるわけですから、少しは損害を負担しなさいということになります。

 

その結果、90:10(右折車:直進車)という過失相殺率となります。

 

2 修正要素

以下の事情がある場合には、直進車両に以下の過失割合が加減されることがあります。

 

① 既右折 +10%

右折車が、ほとんど右折を完了しているような状況の場合は、右折し始めたのはもっと前ということになります。

そうすると、直進車は、衝突地点からある程度離れたところから、右折車が右折しそうだということを確認できたということになります。

そのようなケースでは直進車の前方不注視の程度が、少しひどいかなということで直進車について10%程度過失が加算されます。

 

② 直進車のゼブラゾーン走行 +10~20%

ゼブラゾーンは、法律上走行を禁止されているわけではないのですが、一般常識として意味もなく入らないものです。

また、ゼブラゾーンを走っている車両は、本来の走行車線が混んでいるために抜け駆け的に走っていることも多く、その場合には交通秩序を乱す行為といえます。

そのため、ゼブラゾーンを走っている車の事情や、視認性などを考慮のうえで10~20%程度直進車の過失が加算されます

 

③ 直進車の15km/h以上の速度違反 +10%

直進車が高速であるほど事故の確率が上がるからです。

 

④ 直進車の30km/h以上の速度違反 +20%

上記と同様です。

 

⑤ 直進車両の著しい過失 +10%

前方不注視は、もともと考慮されているので、それ以上にひどい落ち度があった場合を言います。

 

⑥ 直進車両の重過失   +20%

ほとんど故意に近いようなケースです。

 

⑦ 幹線道路  -5%

幹線道路に明確な定義があるわけではありませんが、おおむね片側2車線以上で、車道と歩道の区別が明確な道路をいいます。

このような道路は、交通量が多いので、侵入車両は、より気を付けるべきですし、直進車両は、前の車両については知っていれば大丈夫と思いがちなので、直進車両の過失割合が5%減となります。

 

⑧ 右折車両の徐行なし -10%

右折車が飛び出してきたような場合には、直進車は避けづらくなりますから、その分過失が10%減となります。

なお、「徐行」とは、道路交通法2条で、「車両等が直ちに停止することができるような速度」とされていますが、過失割合を考えるときの徐行は、そこまで低速でなくてもよく、右折車として常識的な範囲での速度であれば徐行と認められます。

 

⑨ ウインカーなし -10%

右折車がウインカーを出していなければ、直進車は右折しようとしているのかどうかについて判断が遅れますから、直進車が衝突を避けづらい事情として直進車の過失が10%減となります。

 

⑩ 右折車両の著しい過失 -10%

もともとの過失割合が、右折車に過失があることを前提としていることから、相当ひどい過失がある場合のみ適用されます。

たとえば、飲酒運転などがあげられます。

 

⑪ 右折車両の重過失        -20%

ほとんど故意に近いようなケースです。

 

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弁護士 本田幸則

弁護士 本田幸則

2007年に弁護士登録をし、2014年に「なごみ法律事務所」を設立。 自身が交通事故にあったことをきっかけに、交通事故の被害者側での弁護活動に注力するようになる。