交通事故の基礎知識

交通事故に関する法律から自動車の知識まで、交通事故にあってしまったら知っておきたいことを弁護士が分かりやすく説明します!

分野別の目次は、こちらの【コラム目次】をご覧ください

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交通事故で保険等級が下がったことについて損害賠償請求できるか?

 交通事故にあって自分が加入している保険のうち対人賠償保険、対物賠償保険、車両保険などを利用した場合、保険等級が下がります。

 対人賠償保険や対物賠償保険は、事故相手の損害について、あなたの過失割合に応じて支払うものですから問題となることはないでしょう。

 よく問題となるのは、車両保険を使った場合です。

 なぜなら、理論的には車の修理費用は、加害者から賠償してもらったお金でするべきことですが、事故後すぐに解決ということはまずないので、加害者からの賠償は、かなり先となります。

 しかし、事故車両を何か月もほったらかしというわけにもいかないので、アジャスターによる損害の査定が終わったら修理してしまって乗りたいでしょう。

 そんなときに、金銭的に余裕があればいいですが、そうでない場合は車両保険を利用して修理することになります。

 そうすると、あなたの保険の等級は3等級ダウンし、保険料が上がります。

 

 では、この保険等級が下がったことによって増加した保険料を加害者に請求できるでしょうか?

 

 結論としては、保険等級のダウンによる保険料増加分については、加害者に損害賠償請求することはできません

 

 この点については、交通事故弁護をするならば当然知っているべきことだと思っていたのですが、調べてみると以外と裁判例がありません。

 刊行物に乗っている裁判例としては、以下の3つしか見つけられませんでした。

・名古屋地方裁判所 平成9年1月29日判決

・東京地方裁判所 平成10年12月9日判決

・東京地方裁判所 平成13年12月26日判決

 

 これらの裁判例では、多少の言い回しは違いますが、保険等級ダウンによる保険料増加分を加害者に請求できない理由として、車両保険を使うかどうかは被害者の意思にかかっているのであるから、そのようなものについは事故による損害とはいえないとしています。

 

 ですから、交通事故で車が損傷した場合、修理費用や過失割合によっては車両保険は使わないほうが良いということになります。

 

 なお、私個人としては、お金のない人ほど損をすることになるので、少しは損害として認めてくれてもいいのではないかと思うのですが・・・、いやお金のない人は車両保険をかけてないか・・・

弁護士 本田幸則

弁護士 本田幸則

2007年に弁護士登録をし、2014年に「なごみ法律事務所」を設立。 自身が交通事故にあったことをきっかけに、交通事故の被害者側での弁護活動に注力するようになる。