交通事故の基礎知識

交通事故に関する法律から自動車の知識まで、交通事故にあってしまったら知っておきたいことを弁護士が分かりやすく説明します!

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原付二人乗り、ヘルメット不着用でも保険金が給付されるとされた事例

任意保険の無保険車傷害補償特約には、対象者に重過失がある場合は免責される(保険金が下りない)という規定があるのが通常です。

では、原付に二人乗りで、ヘルメットを着用していなかったために死亡した場合は重過失があるとして保険は下りないのでしょうか?

この点について争われた事例として金沢地方裁判所平成28年2月3日判決というものがあります。

同判決は、結論として、原付に二人乗り、ヘルメット不着用であったことは重過失には当たらず、免責規定の適用はないとしました。

その理由として裁判所は、免責規定にある「重過失」とは故意に比肩しうるほどの非難が可能な程度のものである必要があり、原付の二人乗りやヘルメット不着用はそれほどとはいえないとしています。

少々長いですが、裁判所の言い回しを正確に引用すると以下のとおりです。
「免責規定の解釈にあたっては、保険者の免責(しかも、一部ではなく、全面的な免責である。)という例外的な場合を定めたものであることを考慮に入れつつ、当該ケースにおいて免責を及ぼすのが一般的保険解約当事者の通常の意思であるといえるか、またそのように解するのでなければ、免責規定が定められる趣旨(保険契約者又は被保険者が免責規定所定の要件の下で保険事故を招致した場合に、被保険者に保険金請求権を認めるのは、保険契約当事者間の信義誠実の原則に反し、かつ、倫理、公序良俗等の公益上の要請を損なうからである。)を没却することになるかという見地から、当事者の合理的意思を解約すべきと考える。
このような観点から解釈すると免責規定所定の重過失とは、故意に比肩しうるほどの非難が可能な程度のものと解するのが相当であるし、免責規定所定の「犯罪行為」には、原付自転車の2人乗りやヘルメット不装着(その教唆犯も含む。)は該当しないと解するのが相当である。」

なお、免責規定の適用はなく保険金が支払われることとなりましたが、原付二人乗りとヘルメット付着用は、過失相殺にて考慮され40%減額されました

弁護士 本田幸則

弁護士 本田幸則

2007年に弁護士登録をし、2014年に「なごみ法律事務所」を設立。 自身が交通事故にあったことをきっかけに、交通事故の被害者側での弁護活動に注力するようになる。