交通事故の基礎知識

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生活費控除率とは?ー交通事故の損害賠償を計算する②-

交通事故で亡くなった方の損害賠償の一つとして、「逸失利益」というものが認められます。

逸失利益とは、生きていたら得られたであろうお金のことです。

具体的には以下のような計算式で算出されます。

逸失利益=基礎収入額×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数

今回は、このうち「生活費控除率」はどうやって決まるのかを説明します。 

 

1 生活費控除率とは?

 

 逸失利益とは、冒頭に書いたとおり、生きていれば得られたであろうお金ですが、収入の全てを自由に使えるわけではありません。

収入のうち、かなり多くの部分を生活費として支出し、残りが自由に使えるお金となるわけです。

では、収入のうち、どれくらいを生活費として支出するのかというのを収入に対する割合で表したものが生活費控除率です。

 

 2 具体的な生活費控除率は?

 

生活費をどれくらい支出するかは、本来は人によって違うはずです。

ですが、事故のたびに、その人が過去の生活費としてどれくらい支出したかを入念に調べ、今後支出するであろう生活費を推定するわけにもいきません。

 

そこで、裁判では、原則として以下の基準が用いられます。

 

・一家の支柱で被扶養者が1人:40

・一家の支柱で被扶養者が2人以上:30

・女性(主婦、独身、幼児等を含む):30

・男性(独身、幼児等を含む):50

 

上記のとおり独身男性の生活費控除率は高めに設定されています。

男性全般が生活費を多く使うかというと、そんなことはありませんが、統計的には女性の方が独身でも自炊率が高く、生活費が低くなる傾向があるからです。

また、男性でも結婚すると生活費控除率は低くなります。

現時点では上記のとおりですが、労働形態や家庭における役割等に変化があれば、男女差はなくなってくるかもしれません。

 

上記は一般的な場合であり、具体的な事情によって変わる場合もあります。

たとえば、年金生活者の場合は、収入に占める生活費の割合が高いとされ、60%前後とされることがあります。

これは、生活費が多くかかるというよりも、年金収入は給与収入より低いのが一般的なので、相対的に収入のうち生活費として支出する割合が増えるというだけです。

 

 3 その他

 

逸失利益が生きていれば得られたであろうお金で、その計算の際に、生活費は必ず支出されるお金で自由に使えないお金だらか差引くと考えるならば、収入のなかから税金として支払う分を差引かないのかという問題もありますが、一般的には差引きません。

 

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弁護士 本田幸則