交通事故の基礎知識

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【民法第724条】損害賠償の時効が3年から5年に!?改正民法によって気をつけるべきポイント

2017年5月に民法の改正案が可決されましたが、それによって生命・身体に関する損害賠償の期間が5年となり、さらに解決に向けて話しあっている場合に時効が延長できる規定が置かれました。

もう少し詳しく見ていきましょう。

 

1 生命・身体に関する損害賠償の時効が5年になりました

 

従来の民法では、交通事故などの不法行為に基づく損害賠償請求の時効は、損害と加害者を知ってから3年とされるのみでした(現民法724条)。

 

これに対して、改正民法では、新たに724条の2という条文を設けて、生命・身体に関する損害賠償の時効を、損害及び加害者を知ってから5年としました。

新しい民法でも、生命・身体に受けた損害について例外的に5年に延長されただけなので、物損、たとえば車の修理費用などは3年のままですから気をつけてください。

 

2 話し合いをするという書面の合意があれば時効が延長されます

 

改正民法のもう一つの特徴は、話し合いをしようという合意を書面(メールを含む)があると、上記の3年あるいは5年の時効から、以下の期間まで時効が延長されます(改正民法151条1項本文)。

① 合意をしたときから1年間(同項1号)

② 話し合いの期間について1年以内で具体的な合意をしたときは、その期間(同項2号)

③ 協議の続行を拒絶する旨の通知から6か月(同項3号)

 

 

上記①②の期間中に協議を延長する合意があれば、その合意から再度上記①~③の期間時効が延長され、さらに再々延長も可能で、最高で本来の時効完成時点より5年間延長できます(同条2項)。

 

しかも、話し合いで解決しましょうという合意文書は電磁的記録でもかまわないと規定されているため(同条4項)、メールでのやりとりでも合意文書と認められます。

 

この規定ができたことで、従来ですと、話し合いがまとまりそうなのに、もうすぐ時効が完成してしまうから訴えないといけないということがあり、話し合いが中断されて裁判手続に移行していたものが、時効をさほど気にすることなく話し合いを継続することができるようになります。
もちろん、最高で5年という制限はありますが、5年間も話し合いを続けて解決しない場合には、裁判をした方がいいでしょう。

 

〈関連する改正民法の条文〉

改正民法724条

不法行為による損害賠償の請求権は、次に掲げる場合には、次項によって消滅する。

① 被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知ったときから3年間行使しないとき

② 不法行為の時から20年行使しないとき

改正民法724条の2

人の生命身体を害する不法行為による損害賠償請求権の消滅時効についての前条第1号の規定の適用については、同号中「3年間」とあるのは、「5年間」とする。

改正民法151条

1 権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたときは、次に掲げるときのいずれか早い時までの間は、時効は、完成しない。

① その合意があった時から1年を経過した時

② その合意において当事者が協議を行う期間(1年に満たないものに限る。)を定めたときは、その期間を経過した時

③ 当事者の一方から相手方に対して協議の続行を拒絶する旨の通知が書面でされたときは、その通知の時から6箇月を経過した時

2 前項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた再度の同項の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有する。ただし、その効力は、時効の完成が猶予されなかったとすれば時効が完成すべき時から通じて5年を超えることができない。

3 催告によって時効の完成が猶予されている間にされた第1項の合意は、同項の規定による時効の完成猶予の効力を有しない。同項の規定により時効の完成が猶予されている間にされた催告についても、同様とする。

4 第1項の合意がその内容を記録した電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によっては認識することができない方式で作られる記録であって、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)によってされたときは、その合意は、書面によってされたものとみなして、前3項の規定を適用する。

5 前項の規定は、第1項第3号の通知について準用する。

 

弁護士 本田幸則

弁護士 本田幸則

2007年に弁護士登録をし、2014年に「なごみ法律事務所」を設立。 自身が交通事故にあったことをきっかけに、交通事故の被害者側での弁護活動に注力するようになる。