交通事故の基礎知識

交通事故に関する法律から自動車の知識まで、交通事故にあってしまったら知っておきたいことを弁護士が分かりやすく説明します!

分野別の目次は、こちらの【コラム目次】をご覧ください

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就労可能年数とは?-交通事故の損害賠償を計算する③-

就労可能年数とは、被害者の方が生きていたら働けたであろう期間です。
交通事故で亡くなった方の損害賠償の一つとして、逸失利益(生きていたら得られたであろうお金)というものが認められます。
この逸失利益を計算するためには、亡くなった方が生きていたら、いつから、いつまで働けたかを考える必要があります。

なお、逸失利益の具体的な計算式は以下のとおりです。
逸失利益=基礎収入額×(1-生活費控除率)×就労可能年数に対応するライプニッツ係数


【目次】
1 いつから働けたと考えるのか?
2 いつまで働けたと考えるのか?
3 高齢者の場合はどうするのか?

 

1 いつから働けたと考えるのか?

被害者の方が学生や乳幼児の場合、まだ働いていないので、いつから働けるかが問題となります。

 

裁判では、特別な事情がなければ18歳から働けたものとされますが、大学などに進学している場合や、大学などへの進学が確実といえるような高校生の場合は、大学卒業年齢である22歳とされるなど、事情に応じて変更される場合もあります。

 

2 いつまで働けたと考えるのか?

 

 いつまで働けたかについては、原則として67歳までとするのが裁判例です。

ですから、亡くなった方が40歳だったとすると、就労可能年数は、67歳-40歳=27年となります。

 

もっとも、職種によっては、もっと高齢まで働くのが一般的な場合もあるでしょうから、そのことを証明できれば就労可能年数も長くなります。

 

裁判例では、医師や税理士について、67歳より長く働けたと認定しているものがあります。

 

3 高齢者の場合はどうするのか?

 

⑴ 労働収入があった高齢者の場合

上記のように、いつまで働けたかについて67歳までだと考えると、67歳を超える高齢者の場合、就労可能年数は0となるはずです。しかし、現実には、67歳を超えても働いている方はいらっしゃるので、不都合な場合があります。

 

そこで、67歳を超えても働いていた方の場合は、厚生労働省が公表している簡易生命表にある平均余命の2分の1を就労可能年数と考えます。

簡易生命表は、厚生労働省が毎年発表しているので、こちらの厚生労働省の簡易生命表のページから該当する年度のものをダウンロードして確認してください。

まだ発表されていない年度の場合は、最新のものを利用します。

 

ここで、上記のような平均余命での修正を行うと、50歳くらいから就労可能年数について逆転現象が起こります。

男女や年度で違いますが、たとえば、男性55歳が平成25年に亡くなった場合、67歳を基準とすると、就労可能年数は、67歳-55歳=12年です。

ところが、平均余命の2分の1を基準とすると、平均余命27.44年÷2=13.72年となり、平均余命で計算した方が就労可能年数が長くなります。

こうなると不公平なので、「平均余命の2分の1」と「67歳-年齢」を比較して、長い方を就労可能年数と考えます。 

 

⑵ 年金収入がある高齢者の場合

もう一点、高齢者の方で問題となるのが、年金収入がある場合です。

年金収入も収入に変わりありませんから、逸失利益を算定するにあたっての基礎収入にあたります。

 

そして、年金は生きている限りもらえるものですから、年金収入を基礎収入とする場合の就労可能年数は平均余命までと考えます。

 

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弁護士 本田幸則